こんにちは、ケント先生です。
更年期に入ってから、こんなことはありませんか。
眠れないから、疲れが取れない。
疲れが取れないから、些細なことでイライラする。
イライラすると、また眠れなくなる。
この繰り返しに入ってしまっている方が、本当に多いのです。しかも困ったことに、病院で検査をしても異常はないと言われる。
だから誰にも分かってもらえず、一人で抱えてしまう。実はこれ、更年期に自律神経が乱れることで起こる、典型的な悪循環です。
自律神経とは、呼吸や心拍、血流、体温、睡眠、胃腸の働き、発汗などを24時間休まず調整してくれている体の司令塔です。
私たちは寝ている間も、心臓を動かそうと意識しているわけではありません。それでも体は働き続けています。自律神経が自動でコントロールしてくれているからです。
簡単に言えば、昼はアクセル、夜はブレーキ。この切り替えがスムーズにできていることが、健康の秘訣です。
ところが更年期になると、女性ホルモンの急激な変化に加えて、ストレスや睡眠不足、加齢、不規則な生活が重なり、この切り替えがうまくいかなくなります。夜なのに体が休めない。昼なのに動けない。そうして、さきほどの悪循環が始まります。
東洋医学では、この状態を気や血の不足、あるいは気の巡りの悪さとして考えます。
気は体を動かすエネルギー、血は全身へ栄養を届ける役割です。このどちらかが足りなくなったり、流れが悪くなったりすると、自律神経も乱れやすくなると考えられています。
今月と来月にわたって、更年期の自律神経の乱れで現れやすい5つの症状と、その対処法をお話しします。
そして最後に、この悪循環をどこから断てばいいのかをお伝えします。ぜひ最後までご覧ください。
第1章 動悸
まず1つ目は、動悸です。
急にドキドキする。
横になると心臓の音が気になる。
階段を上ると動悸が強い。
そんな方も多いです。
もちろん心臓そのものの病気が隠れている場合もありますが、検査で異常がない場合は自律神経の影響も考えられます。
交感神経が過剰に働くことで、必要以上に心臓が頑張ってしまい、動悸として感じやすくなるのです。
東洋医学では、血が不足すると心が養われず、動悸が起こりやすくなると考えます。
例えるなら、池の水が少なくなっているのに、ポンプだけが頑張って水を送ろうとしている状態です。
特に女性は月経や加齢、更年期によって血が不足しやすいため注意が必要です。また、睡眠不足や無理なダイエットでも血は不足しやすくなります。
NGなのは、コーヒーやエナジードリンクを飲み過ぎることです。カフェインは交感神経を刺激し、動悸を強く感じる方もいます。また、「検査で異常がないから大丈夫」と無理を続けることもおすすめできません。体は疲れているというサインを出しています。
おすすめの食材は、トマト、人参、黒ごま、ほうれん草、なつめ、レバー、卵です。まずは毎日の食事に卵を1個追加するだけでも構いません。
また、動悸を感じた時はゆっくり深呼吸をしてみてください。4秒かけて鼻から吸い、6〜8秒かけてゆっくり吐くだけでも、副交感神経が働きやすくなります。
動悸が気になる方によく使われる漢方薬の一つが帰脾湯です。
ただし、胸の痛みや息苦しさ、冷や汗を伴う場合は心臓の病気の可能性もありますので、早めに医療機関を受診してください。
第2章 不眠
2つ目は、不眠です。
寝付きが悪い。
途中で目が覚める。
朝早く起きてしまう。
眠った気がしない。
不眠と一言でいっても原因は様々です。
仕事や介護による過労、精神的ストレス、加齢による変化、食べ過ぎや飲み過ぎなど、多くの場合はいくつかの原因が重なっています。
最近では寝る直前までスマートフォンやタブレットを見る方も増えており、それも睡眠の質を低下させる大きな原因です。
東洋医学では、心を養う血や潤いが不足すると眠りが浅くなると考えます。
スマホの充電が足りないまま使い続けているような状態です。
充電が少ないスマホでは安心して一日使えないように、体も十分なエネルギーがないと深い眠りに入りにくくなります。
NGなのは、寝る直前までスマホを見ること、寝酒をすること、夜遅くに食事をすることです。
一時的に眠れたように感じても、睡眠の質は低下してしまいます。また、休日だからといって昼まで寝てしまうと体内時計が乱れ、さらに夜眠れなくなる悪循環に陥ることがあります。
おすすめの食材は、百合根、竜眼肉、なつめ、蓮の実、豆腐、卵です。
まずは寝る1時間前にスマホをやめるだけでも大きな一歩です。部屋の照明を少し暗くする、ぬるめのお風呂に入る、白湯を飲む、静かな音楽を聴くなど、自分なりのリラックス方法を作ることも大切です。
また、朝起きたらできるだけ早くカーテンを開けて朝日を浴びましょう。朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、夜になると自然に眠くなるホルモンが分泌されやすくなります。夜の睡眠は朝から始まっていると言われるほど、朝の過ごし方は大切です。
不眠でよく使われる漢方薬の一つは酸棗仁湯です。
第3章 イライラや落ち込み
3つ目は、イライラや落ち込みです。
些細なことで怒ってしまう。
気分が沈む。やる気が出ない。
急に涙が出る。
こうした感情の変化も、自律神経の乱れで起こりやすい症状です。
交感神経が働き過ぎると、体は常に緊張状態になり、小さなことでも敏感に反応してしまいます。
逆にエネルギーが不足すると、副交感神経もうまく働かず、何をするにも気力が湧かず、気分が沈みやすくなります。
東洋医学では、感情のコントロールを「肝」が担っていると考えます。
肝の働きが低下すると気の巡りが悪くなり、感情のコントロールが難しくなります。
道路が渋滞すると車がスムーズに進めないのと同じように、気の流れが滞ることで、怒りや不安、落ち込みといった感情も滞りやすくなります。
また、肝は血を蓄える働きもあるため、疲労や睡眠不足によって血が不足すると、さらに精神的に不安定になりやすいと考えられています。
最近では仕事だけでなく、家事や育児、介護、人間関係など、常に気を張って生活している方が増えています。
「自分が頑張らなければ」「迷惑をかけてはいけない」と思う真面目な方ほど、自律神経は乱れやすい傾向があります。
頑張ることは悪いことではありませんが、休むことも同じくらい大切です。
ずっとアクセルを踏み続けている車が故障するように、人の体も休む時間がなければ壊れてしまいます。
NGなのは、ストレスを我慢し続けることや、一日中家にこもることです。
また、嫌なことばかり考え続けたり、自分を責め続けたりすることも、自律神経には大きな負担になります。
おすすめの食材は、セロリ、春菊、鶏肉、酢の物、柑橘類、しそ、玉ねぎです。香りの良い食材は気の巡りを助けると考えられています。
まずは1日5分でも外を歩いてみてください。太陽の光を浴びることで、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンの分泌も促され、気分が前向きになりやすくなります。また、家族や友人と話をすること、好きな音楽を聴くこと、笑うことも、副交感神経を働かせる大切な時間です。
イライラや落ち込みに使われる代表的な漢方薬の一つが加味逍遙散です。
続きはまた来月更新いたしますね!





