【第5回】五行と人の体の関係性【ケントの中医学習塾】

 

前回の記事で自然界のものが繋がっているということがなんとなく分かったと思います。

今回の記事ではそれを人の体に置き換え、どのような関係性で成り立っているかを簡単に書いてみたいと思います^^

 

我々がよく使う説明に、「五臓六腑に染み渡る」という言葉を用います。

これはお酒を飲んだ人がよく使っていた言葉ではありますが、体の隅々にまで行き届いている、という意味になります。

つまり、五臓六腑は体全体を表しているのです。

 

今回は五臓について説明しますね^^

五臓とは五つの内臓のことを思い浮かべると思います。

大きくは間違っていません。昔は内臓を細かく観察できておらず、体の機能を5つに分けたのです。

その機能として「肝」「心」「肺」「脾」「腎」の5つに分けました。

機能として五臓があるので、現在でいう肝臓、心臓、肺、脾臓、腎臓と上の五臓は似ていますが微妙に違っている部分があります。

一番わかりやすい例は「腎」だと思いますのでそちらをご説明しますね^^

現代の腎臓は膀胱と繋がって、尿機能を助けたり、体の老廃物を濾過して血液の調整をしたり、水分の調整をしています。

しかし、中医学では、尿に関する部分はありますが、老廃物の濾過、という働きは考えられていません。また別の働きによるものだと考えられています。

また、「腎」には成長、発育、老化、免疫などの生命力に関わる部分や、骨や歯、腰や耳などへも影響します。

なので西洋医学だとホルモン系やカルシウム系など細分化されている働きは腎も一部関わり合っているというふうに考えられています

わかりやすい例を挙げると、年齢を重ねた方は骨が弱くなり、耳鳴りがし、腰が曲がって、風邪にもかかりやすくなりますね。これは腎の機能が落ちてきているために起こるものだと考えられます。

また成長や妊娠にも関わっているので成長の遅い幼児や、なかなか妊娠できない、という方も生まれつき腎の機能が弱かったり、無理なダイエットや生活習慣により腎の機能を傷つけて弱まっている場合も考えられるのです。もちろんこの全てではありませんが、こういう方が、中医学の2000年以上ある長い歴史の中で多かった、ということがあるのです。

少し話が長くなりましたが、ここから五臓の働きについて簡単に説明しますね^^

 

まず、「肝」です

「肝」には主に2つの働きがあります。

一つ、血を蓄える機能

一つ、気の流れを調節する機能

です。他にもいろいろありますが、今回はこの2つ^^

前半は現代の肝臓と同じ機能ですね。

肝で血を蓄えて、体の血の足りないところへ送る働きをします。そもそもの血が足りないと、体が冷えたり、髪の潤いがなくなってきたり、爪が脆くなってきたりします。

後半はわかりやすくいうと機嫌、テンションですかね。

気の巡りが悪いと、イライラしやすくなったり、逆に気分が落ち込みやすくなったりします。女性で生理前はイライラしやすくなってしまうという相談がよくありますが、大抵は肝の調子が悪くなっているために起こる症状なのです。

 

次に「心」です。

「心」も2つの働きを紹介します。

一つ、血を送る機能

一つ、健康な精神であるための機能

「肝」でも触れましたが、血を送る機能があります。「心」が1大きな役割を担い、この辺りは現代の心臓と一緒ですね。

二つ目は、そのままの意味です。この機能が落ちてしまうと、突然発狂したり、変な幻覚を見たり、意識を失ってしまったりするなどの影響が見られることがあります

これはなかなか重度なのでもし思い当たる方は病院に行くことをお勧めします^^

 

3つ目は「脾」です。

「脾」は消化吸収を司る機能が大きな役割です。

食べたものを消化し、体に吸収させます。なのでこの機能が弱いと、そもそも食欲が全然出なかったり、食べても痩せほそったままだったり、下痢してしまうといった悩みが出ている人が多いです。

他にもやる気が出ない人なども当てはまります。周りでよく見るめちゃくちゃ元気で明るくて行動力がすごい人は「脾」が元気でよく食べてよく動く人が多くありませんか?

4つ目は「肺」です。

 

「肺」にもいくつも働きがありますが、簡単に3つ紹介します。

一つ、呼吸をコントロールする働き

外から必要な空気を取り入れ不要な体内の空気を吐き出します。

現代医学的にいうと、空気中の酸素を取り入れ二酸化炭素を出す働きをしています。これは今の肺も同じ機能をしているのでわかりやすいですね^^

一つ、水の流れをコントロールする働き

体の中にある水分は必要なところへ流されなければなりません。その働きができなくなってしまうと、体がむくんだり乾燥してしまったりします。

一つ、外から来る悪いものから体を守る働き

肺は五臓の中で唯一直接外と繋がっている臓器です。わかりやすくいうと、ウイルスなどは口や鼻から喉を通ってすぐに肺に到達します。

なので肺の機能が丈夫な人はウイルスが入ってきてもすぐに体の外へ出せるので風邪をひきにくい、というわけです。この辺りは1目の機能と少し繋がっていて、空気中にある悪いものは人の体にとっては不要なものなので体の外に出す、ということですね^^

逆に肺の機能が弱い人は風邪を引きやすかったり、大きな声を出すのが苦手だったりします。

 

最後は「腎」です。

「腎」の機能を簡単に2つ紹介します。

一つ、生命力を司る機能

簡単にいうと、成長や発育、老化、妊娠・出産、などです。背が低い、発育が遅い、妊娠しにくい、同世代と比べて老化が早いなどは腎と関連します。なので「補腎」は色々な方にしてもらいたい部分になります。

一つ、水の代謝を司る機能

腎は膀胱と関係が深く、尿意で夜目が覚めてしまう、頻尿などが関係します。

 

いかがだったでしょうか?

ご自身の過去の経験から当てはまるものや似たような思い当たることはありましたか?

これらは深く結びつき、またそれぞれが前回書いたようにお互いに作用します。

これらのバランスを取ることが健康でいるために何よりも大事であり、私たちが皆さんのお悩みを解決するために考えていることでもあります^^

次回はこれらの五臓の機能を消耗してしまうこと、守るためにした方が良いことなどを書いていきますね^^

お楽しみに!!^^